米Cisco Systemsが米国時間10月2日に,Wi-Fi(IEEE 802.11b)互換の無線アクセス・ポイント「Aironet 1100 Series Access Point(AP)」を発表した。

 Aironet 1100 Seriesは同社製アクセス・ポイントとしては,同社のスイッチ/ルーター/ネットワーク・インフラ装置向けネットワーク・システム・ソフトウエア「IOS」を初めて採用した製品という。

 「無線インフラ上でIOSを動作させることで,仮想LAN(VLAN),サービス品質(QoS),プロキシ・モバイルIPなど高度なネットワーク・サービスを,無線ネットワークにまで広げられる。一貫性のある機能と使い慣れたインタフェースにより既存の管理ツールや経験を生かし,より低い総所有コスト(TCO)で拡張性と安全性に優れたLANインフラを実現できる」(Cisco社)

 IOSソフトウエアを使うと,最大16個のVLANセグメントを設け,異なるサービスをユーザーに提供することが可能となる。たとえば企業などでは,VLANを分割することで,音声,ビデオ,データ通信を顧客のトラフィックから分離できるという。

 なおCisco社は,Wi-FiとWi-Fi5(IEEE 802.11a)の両規格に対応可能なアクセス・ポイント「Aironet 1200 Series Access Point(AP)」でも,2003年第1四半期にIOSを採用することを計画している。

 さらAironet 1100 Series APのプロキシ・モバイルIP機能により,有線LANとほぼ同じ方法で無線ネットワークをセグメント化できる。「当社製アクセス・ポイント間でシームレスなローミングを提供しつつ,性能/管理性/拡張性を向上させる」(同社)

 そのほかのAironet 1100 Series APの主な特徴は以下の通り。

・地域の消防規則にしたがって天井裏部分にアクセス・ポイントを設置できるよう,UL2043認定に対応。

・ノート・パソコンと同様のMini-PCI対応無線モジュールにより,機器の設置現場でアップグレードが行える。これにより将来,54Mbpsで通信可能なIEEE 802.11gや,米国の次期標準暗号化技術AES(Advanced Encryption Standard)への対応が可能。

・無指向性アンテナを内蔵。

・天井,部屋や間仕切りの壁,机の上などさまざまな場所に設置可能なデザイン。

 Aironet 1100 Series APは,2002年10月に出荷を開始する。米国における価格は599ドル。

 また同社は同日,自動車や航空機など移動体内で使用可能なアクセス・ルーター「3200 Series Mobile Access Router」を発表した。

 3200 Seriesは標準的なモバイルIPに対応しており,IPネットワークの範囲を拡大するという。さらにIOSの「Mobile Networks」により,モバイルIPの機能を単一のクライアントだけでなくネットワーク全体で利用し,移動中も接続状態を維持できる。

 大きさは3.5インチ(約89mm)×3.8インチ(約97mm)で,「条件の悪い移動体内の環境に適している」(同社)。業界標準のPC/104-PLUSアーキテクチャをベースにする。高速なマイクロプロセサとPCIバス,大容量メモリーを搭載し,高度なIPアプリケーションに対応可能な性能レベルを提供するという。

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[発表資料(Aironet 1100 Series AP)]
[発表資料(Cisco 3200 Series Mobile Access Router)]